定着率とは?計算方法から定着率の向上方法について
こんにちは。リクルートの求人広告代理店「株式会社yell(エール)」ライターチームです。
“求人倍率の上昇”、“少子高齢化”などの影響で、採用活動が難しくなっている今、多くの資金や労力をかけて採用しても、その人材がすぐにやめてしまっては意味がありません。
「せっかく採用が決まってもすぐに離職してしまう」
「新規採用にかけられる予算がない」
こんなお悩みを持っている企業様は、“定着率”にも目を向けて採用を行う必要があります。
この記事では人材の定着率について、業種ごとの現状や計算方法、定着率を向上させる採用対策を詳しく解説をしています。
■目次
- 定着率とは?離職率との違い
【1】定着率と離職率の違い - 定着率の現状について、雇用形態別・業界別に解説
【1】正社員の定着率
【2】アルバイト・パートなどの定着率
【3】業態別、定着率が高い業界、低い業界 - 定着率の計算方法
- 定着率を上げるメリット
- 定着率が悪い主な原因
【1】正社員の定着が悪い理由
【2】アルバイト・パートの定着が悪い理由
【3】入社前とのギャップも定着率を下げる原因に - 定着率を向上させるために取り組むべき7つのポイント
【1】企業の方向性・目標を明確にする
【2】従業員の能力に適した部署、業務を与える
【3】昇格・昇給制度を整え、条件を明確にする
【4】ワークライフバランスを充実させる
【5】社員間のコミュニケーションを大切にする
【6】福利厚生を充実させる
【7】企業と従業員の信頼関係を大切にする - 定着率を向上させ、安定した企業を目指そう!
1.定着率とは?離職率との違い
定着率とは「入社者が時間経過を経てどれくらい定着しているかを表す指標」のことです。
基準とする期間は企業ごとに異なりますが、起算日を年度初日(4月初日など)にして年単位で計測するのが一般的です。
経過年数ごとの定着率が高いほど従業員が会社に長く勤続しやすく、離職リスクが低いことを表します。
例えば、
4月1日に10名の新入社員が入社し、1年後に7名が“離職すること“なく働いていた時
「入社1年目の定着率は7(名)÷10(名)=定着率70%」
となります。
更に、3年後の4月1日に10名中5名が残っていた場合、
「入社3年目の定着率は5(名)÷10(名)=定着率50%」
となります。
人材の流出は採用コストの高騰にも繋がってしまうため、これからの人材戦略は企業の状況・働きやすさを見直して定着率の向上を目指す必要があります。
【1】定着率と離職率の違い
定着率と良く似た指標として離職率があります。
離職率は定着率と何が違うのでしょうか。
離職率とは「入社者が時間経過を経てどれくらい定着しているかを表す指標」として使われることが多いです。
例えば、4月1日に入社をした10名の社員が、1年後4名離職してしまっていた場合
「1年後の離職率は4(名)÷10(名)=離職率40%となります。」
つまり、定着数に着目した指標が定着率、離職数に着目した指標が離職率という事になります。
ちなみに、定着率も離職率も基本的に算出する期間に明確な定めはなく、企業が必要に応じて決めている状態となっています。
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2.定着率の現状について、雇用形態別・業界別に解説
定着率は具体的にどのくらいの数字であることが多いのでしょうか。
今回は、その指標となる数字として雇用形態別・業界別に定着率や離職率をご紹介します。
【1】正社員の定着率
参照:中小企業庁「中小企業白書 2015年版」
こちらの図は新卒採用・中途採用の企業規模別の定着率と離職率をまとめたグラフです。
中途採用では中小企業から小規模事業者まで定着率が69%台とほぼ横ばいとなっており、3年間での定着率は7割程が平均です。
また、新卒採用では企業規模が小さくなるほど定着率は低くなり、小規模事業者では3年後に残っている社員が6割程しかいないという事実があります。
【2】アルバイト・パートなどの定着率
区分 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 |
男性 | 68.9% | 68.1% | 66.0% | 65.5% | 66.1% |
女性 | 77.6% | 77.2% | 78.0% | 77.1% | 77.2% |
合計 | 75.3% | 74.9% | 74.8% | 74.0% | 74.3% |
参考:厚生労働省「雇用動向調査結果の概況」
続いて、アルバイト・パートの定着率についてです。
上記のデータはアルバイト・パートとして働く労働者数をその年の離職者数で割った数です。
このデータを見ると、男女合わせて75%前後が定着しているという事がわかります。
但し、正社員の場合とは違い、そもそも一年未満の短期間で働く前提の方も多く、一概に「定着率が低い職場=働きづらい職場」とは限りませんので、その点注意が必要です。
【3】業態別、定着率が高い業界、低い業界
続いては業態別の定着率に関するデータです。
定着率が高い業界
参考:厚生労働省「雇用動向調査結果の概況」
この表は平成29年中に離職が少なかった産業を、上位5位まで抜き出した表です。
最も離職が少なかったのは「電気・ガス・熱供給・水道業」で離職率は6%でした。
続いて「複合サービス事業」、「建設業」が8%、製造業が9%と続いています。
電気・ガスなどのインフラ関係や、複合サービス事業に分類される郵便関連事業、旧国営企業は例年、離職率が低く定着率が高い産業となっています。
定着率が低い業界
参考:厚生労働省「雇用動向調査結果の概況」
続いて、平成29年中に離職が多かった業界についてです。
もっとも離職が多かったのは、「宿泊業,飲食サービス業」で30%、続いて「生活関連サービス業,娯楽業」22%、「不動産業,物品賃貸業」17%となっています。
近年、離職率対策として様々な打ち手が行われていますが、依然として「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」は定着率が低く、離職が高い状況となっています。
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3.定着率の計算方法
定着率には厳密に定められた計算方法はありませんが、以下のような方法で算出することが一般的です。
- 定着率の計算式
- 定着率 = (入社人数 – 離職人数)÷ 入社人数
ここで、重要なのは算出する期間をどうするか?という点です。
期間については定着率を算出する目的と、誰に対して示すものなのかによって検討する必要があります。
もちろん、定着率を算出する期間に明確な定めはありませんので、入社一か月目の定着率でも、10年目の定着率でも問題ありません。
とはいえ、求人広告などで定着率をアピールする際は「3年」程度、事業計画等で利用する場合は最低3年~10年程度の推移は求める方が良いでしょう。
算出する期間については、活用するシーンを想定して適宜決定しましょう。
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4.定着率を上げるメリット
定着率を上げることは、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。
一度定着率を上げることに成功すれば、事業の成長や売上増加にも繋がるのでここで紹介するメリットを意識してみてください。
- 優秀な人材の流出を防げる
-
定着率を上げると、優秀な人材を企業に引き留めることができます。
定着率の低さ=企業に対する満足度の低さでもあります。
当然、優秀な人材程それを敏感に感じ取っているため、他へ流出する原因になります。定着率を上げることができれば、同時に優秀な人材の流出も防ぐことができます。
- 採用、教育コストが削減できる
-
一般的に社員を1名採用し、教育していくためには約1,000万円の費用がかかると言われています。
社員の定着率が高ければ、採用・教育費用は必要最小限で済みます。
- 生産性の向上に繋がる
-
定着率の向上は、企業の生産性や業務効率の向上に直結します。
新人や勤続年数の浅い従業員ばかりでは、本人たちの能力不足はもちろん、
既存社員も教育や指導に時間をとられ組織全体の生産性は上がりません。平均的な勤続年数を上げることができれば生産性・業務効率も必然的に上がっていきます。
- 社内の団結力が高まる
-
定着率を高めて従業員の勤続年数が長くなることで、社内の団結力が高まります。
社内の団結力は一朝一夕で高まるものではありません。
そのため、従業員の入れ替わりが頻繁にあるとそもそもコミュニケーション不足となり結束感は生まれづらくなります。働きやすく生産性の高い組織となるためには、定着率の向上は欠かせません。
- モチベーションの低下を防げる
-
社員の入れ替わりが激しいと、残った社員に様々な負担がかかりモチベーションの低下を招いてしまいます。
「退職した社員の仕事を被らなければいけない。」
「新しい社員に同じことを一から教えないといけない。」
こんな状況では職場に行くことですらうんざりしてしまいます。定着率を上げることができれば、自分の仕事に集中しやすい職場となりモチベーションの低下を防ぐことができます。
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5.定着率が悪い主な原因
定着率の低さで悩んでいると方はまず原因の究明をする必要があります。
定着率が悪い原因はいくつかのパターンがあるため、以下で紹介する原因を参考にしてみてください。
ここでは、正社員、アルバイト・パートの大きく2つに分けて、それぞれ定着率が悪くなってしまう“よくある”原因を解説します。
【1】正社員の定着が悪い理由
- 労働環境
-
正社員の定着率が悪い理由としてまず考えられるのが、“労働環境”です。
例えば、オフィスが駅から遠い、人数に対してオフィスが狭いなどある程度、“仕方がない”
ものから、空調が効いていない、トイレなどの共用部がいつも汚いといった改善可能なものまで様々です。“仕方がない”部分については、福利厚生や待遇などでプラスアルファの対策を行い、改善可能なものについては、早急に改善を行いましょう。
- 仕事内容
-
優秀な人材は自身の成長やキャリアアップについて考えを持っており、任された仕事が「つまらない、成長できない」と感じてしまうと離職してしまいます。
そのため、仕事内容も定着率向上のためには非常に重要な要素です。適材適所を考えた人材配置をして、従業員のモチベーションを低下させることがないように気をつけましょう。
- 人間関係
-
どんなに待遇や環境が良くても人間関係が悪いと定着率は下がっていきます。
一口に人間関係といっても、上司と部下の関係もあれば、同僚同士の関係や顧客と従業員との関係もあります。どれか一つが悪いと定着率は低くなってしまいますが、特に注意したいのが上司と部下の関係です。
怒鳴る、過度に詰めるなどパワハラなどはもってのほか、忙しそうで話しかけづらい、話す機会がそもそもないといったような理由も退職につながることがあります。
【2】アルバイト・パートの定着が悪い理由
- 時間、シフトの融通が利かない
-
アルバイト・パートとして働いている従業員は学校・育児など、バイトよりも重要な事を抱えていることがほとんどです。
そのため、時間、シフトの融通が利かないと「働きづらさ」を感じてしまいます。シフト提出のタイミングは適正か、無理な労働時間を強いてないか等、振り返ってみましょう。
- 店長、社員の雰囲気が悪い
-
アルバイト・パートの従業員にとって、働いている店舗にいる店長、社員は直属の上司のような存在です。
特に、怒りっぽい性格をしている場合には、従業員が委縮してしまうことも多く、居心地が悪い環境となってしまいます。面接の際から入社後まで、従業員を優しくフォローしてあげられるような店長、社員を目指しましょう。
- 交通費が支給されない
-
生活圏内で働いている場合には問題ありませんが、事情によって交通機関を使って来ている場合、交通費が支給されないというのは従業員にとって痛手です。
採用難の昨今、交通費の支給は当たり前の待遇となっているため、支給をしていないと悪目立ちしてしまいます。企業方針のために支給が難しい場合もあるかもしれませんが、定着率の向上を目指すのでれば検討した方がいいでしょう。
【3】入社前とのギャップも定着率を下げる原因に
定着率が低い場合、従業員が“入社前とのギャップ”を感じていることが多いです。
これは正社員、アルバイト・パートのどちらにも共通しており、募集の内容と実際の労働環境にズレが生じている場合には、定着率へ顕著に表れます。
従業員の期待を裏切らないためにも、まずは自社が求めている人物像をしっかりと想定し、それに合致した人材を見極めて採用に繋げましょう。
厳選して自社に適した従業員を揃えることで、より定着率の向上を目指すことができます。
- 入社前のギャップを防ぐには?
-
入社前後のギャップの原因として「求人媒体に書かれた情報と実情が違った」という事が良くあります。株式会社yell(エール)では、入社前後のギャップ対策を考慮した求人のご提案を行っています。
入社後すぐの離職にお悩みの方はお気軽に『リクルート求人広告代理店 株式会社yell(エール)』までお問い合わせください。
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6.定着率を向上させるために取り組むべき7つのポイント
定着率を向上させるためには、様々なポイントがあります。
今回は、比較的取り入れやすい“7つのポイント”をご紹介します。
定着率に不安がある場合には、ぜひ確認してください。
【1】企業の方向性・目標を明確にする
まず、従業員に対して企業の方向性・目標をしっかりと共有することが重要です。
- どんな事業をしているのか
- どんな目標を持って仕事をするのか
- 一人一人に対して求めていること
など、企業の方向性・目標を明確に示すことで、従業員もその意思についていきやすくなります。
従業員のモチベーション向上にも繋がるため、定着率を上げるためにはぜひ実施してください。
【2】従業員の能力に適した部署、業務を与える
従業員は一人一人やりたいこと、適したことが違います。
そのため、しっかりとその適性を見極めて部署、業務を与えることで、定着率の向上を目指すことができます。
もし、従業員の意にそぐわない、現状の能力に合っていない業務を任せる場合には上司からきちんと「どうしてその仕事を任せるのか、どんなこと期待しているのか」をきちんと説明してください。
誰にでもできる仕事であったとしても、責任感を持ってやり遂げることがとても大切です。
従業員一人一人にそんな働きをしてもらえるように、従業員の能力に適した部署、業務を与えるようにしましょう。
【3】昇格・昇給制度を整え、条件を明確にする
結果を残した社員には、昇格・昇給などの待遇が用意されている企業様も多いと思います。
しかし、その条件を明確に共有していなかった場合、従業員のモチベーションにはなかなか繋がりにくいです。
当然ですが、見えない目標よりも見えている目標の方が追いかけやすく達成率も大幅に変わります。
全てを公開する必要はありませんが、条件を明確にすることで社員のモチベーションUPにも繋がります。
【4】ワークライフバランスを充実させる
定着率が低い企業の特徴として、ワークライフバランスが悪いという場合が多いです。
働きすぎてプライベートの時間を取れない、逆に働かなさすぎて勤務時間に暇を持て余しているなど極端な状況はなるべく避けましょう。
特に、労働時間が長い、休日出勤をすることが多いという場合は、ワークライフバランスが崩れやすいので気をつけてください。
【5】社員間のコミュニケーションを大切にする
定着率の向上を目指すためには、人間関係がとても重要です。
肉体的につらい仕事であっても、職場の人間関係を改善した事で定着率が上がったという実例があります。
社内の人間関係の良さは、従業員にとって「居心地の良い場所」へとつながります。
特に、上司の方は従業員のモチベーションが低くなっていないか、悩みがないか気にかけてあげてください。
【6】福利厚生を充実させる
定着率の向上を目指すのであれば、今後の社会情勢を鑑みて産休・育休はもちろんのこと、社員にとって嬉しい制度を取り入れていく必要があります。
すでに先進的な福利厚生を行っている企業も多くあるため、情報収集をしながら自社に合った福利厚生の確立を目指していきましょう。
【7】企業と従業員の信頼関係を大切にする
企業と従業員の間には、信頼関係がなくてはなりません。
そのため、しっかりと従業員の権利を守り、健全に働けるような職場環境を整えてください。
特に、残業・給与などは、従業員が不満を持ちやすいポイントの一つです。
契約内容だけでなく、労働基準法に違反する内容がないか、改めて注意してみてください。
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7.定着率を向上させ、安定した企業を目指そう!
定着率を上げるためには、人材を募集する段階からしっかりと計画を練ることが重要です。
- どんな人材をターゲットにするのか
- 担当してもらう業務内容、待遇
- 面接官による説明内容
などを明確に決め、従業員が入社前後のギャップを抱いてしまわないように気をつけてください。
株式会社yellでは月間400件以上の問い合わせ実績から蓄積した定着率向上の為のノウハウがあります。
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