
20代薬剤師の平均年収は?男女別の違いや年収アップのコツも解説
薬剤師は国家資格が必要な専門的な仕事であり、他の職種と比較しても給与水準は高い傾向にあります。特に20代でも年収が高いイメージを持つ人は多いでしょう。

そこで今回は、20代薬剤師の平均年収や年収アップのコツについて紹介します。
- 20代薬剤師の平均年収
- 20代薬剤師と他職種における平均年収の違い
- 20代薬剤師が年収をアップさせるコツ
年収アップを目指す薬剤師におすすめの転職エージェントも紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
20代薬剤師の平均年収
20代の薬剤師の平均年収は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると「404万7200円」です。
薬剤師全体の平均年収は「565万1300円」であるため、まだまだ年収の伸びしろがあるといえるでしょう。
●薬剤師全体の平均年収の内訳
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薬剤師になるためには国家試験を受ける必要があり、その受験資格を得るためには大学・大学院での薬学課程を6年間修了する必要があります。
そのため、薬剤師になる最短ルート(※高校卒業後に薬学部に入学、順調に薬学課程を修了した場合)でも、働き始められるのは24歳からです。
20代全体として平均を取った場合の年収は「404万7200円」ですが、実質の20代の平均年収は20代後半の数値である「456万7300円」とも考えられます。
きまって支給する現金給与額 | 年間賞与/その他特別給与額 | 想定年収 | |
---|---|---|---|
20代全体 | 30万6900円 | 36万4400円 | 404万7200円 |
20~24歳 | 28万9400円 | 5万4300円 | 352万7100円 |
25~29歳 | 32万4400円 | 67万4500円 | 456万7300円 |
なお、定年前である50代までの平均年収は以下の通りです。
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30代に突入することで年収は500万円を超えて、40代後半から50代前半まで上がり続けます。
30代全体の平均年収で考えると「557万3750円」になるため、20代と比較すると150万円ほど平均年収が高くなることが分かるでしょう。
【男性・女性別】20代薬剤師の平均年収
20代の薬剤師の年収を、男女で比較してみましょう。20代の男性の平均年収は「416万3150円」で、女性は「427万5750円」です。
20代だけで比較すると、男性よりも女性の方が平均年収は10万円ほど高いことが分かりました。
男性の全年齢の平均年収が「623万8500円」、女性は「527万2400円」であるため、30代以降で差が大きくなっていくと考えられるでしょう。
20代後半になると男性は「496万3900円」、女性は「464万1300円」であり男性の年収が逆転します。
●男性
きまって支給する現金給与額 | 年間賞与/その他特別給与額 | 想定年収 | |
---|---|---|---|
20代全体 | 31万3400円 | 40万2350円 | 416万3150円 |
20~24歳 | 27万8300円 | 2万2800円 | 336万2400円 |
25~29歳 | 34万8500円 | 78万1900円 | 496万3900円 |
全年齢 | 43万4800円 | 102万0900円 | 623万8500円 |
●女性
きまって支給する現金給与額 | 年間賞与/その他特別給与額 | 想定年収 | |
---|---|---|---|
20代全体 | 32万7700円 | 34万3350円 |
427万5750円 |
20~24歳 | 32万5100円 | 9000円 | 391万200円 |
25~29歳 | 33万300円 | 67万7700円 | 464万1300円 |
全年齢 | 36万8000円 | 85万6400円 | 527万2400円 |
薬剤師の平均年収は勤務先によって変わる?
薬剤師の年収は年齢だけでなく、勤務先によっても変わります。厚生労働省の同調査によると、従業員の人数の規模が大きくなるほど、平均年収は低くなる傾向にあることが分かりました。
また、従業員の規模から該当する職場は次のように考えられるでしょう。
●企業規模の目安
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薬剤師の平均年収は40代前半にピークを迎え、「657万8400円」になります。この調査では1,000人以上の規模の平均年齢が低いこともあり、年収が低くなっていると考えられるでしょう。
また、従業員の規模が「10~99人」の場合、平均年齢ときまって支給する現金給与額が最も高いですが、年間賞与は最も低い結果となりました。
平均年齢 | きまって支給する現金給与額 | 年間賞与/その他特別給与額 | 想定年収 | |
---|---|---|---|---|
10~99人 | 48.4歳 | 43万6300円 | 86万4500円 | 610万0100円 |
100~999人 | 43.4歳 | 39万1600円 | 97万9800円 | 567万9000円 |
1,000人以上 | 36.1歳 | 37万4600円 | 90万9400円 | 540万4600円 |
薬剤師の平均年収は職場だけでなく、働く地域によっても大きく変わります。平均年収が高い都道府県は以下の通りです。
●薬剤師の平均年収が高い都道府県TOP5
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最も年収が低い都道府県は沖縄県の「461万4000円」であるため、エリアにより年収に300万円近い差が生まれます。

20代薬剤師の平均年収は他職種に比べて高い?低い?
20代の薬剤師の平均年収が高いかどうか、他の職種と比較してみましょう。今回は、資格が必要なものや一般的な職種をピックアップしています。
次の表から資格が必要な職種の中でも、薬剤師の平均年収は比較的高いといえるでしょう。
きまって支給する現金給与額 | 年間賞与/その他特別給与額 | 想定年収 | |
---|---|---|---|
公認会計士・税理士 | 29万8600円 | 76万5350円 | 434万8550円 |
看護師 | 29万9100円 | 62万2750円 | 421万1950円 |
薬剤師 | 30万6900円 | 36万4400円 | 404万7200円 |
介護職員 | 23万5100円 | 51万6950円 | 333万8150円 |
保育士 | 22万545円 | 60万2850円 | 330万8250円 |
販売店員 | 22万5600円 | 32万9100円 | 303万6300円 |
理容・美容師 | 23万450円 | 2万9250円 | 279万4650円 |
また、先程の説明の通り、薬剤師として仕事を始めるのは最も若くても24歳になるため、他の職種よりも経験が少ない点も考慮する必要があります。
また、薬剤師の資格は6年の薬学課程を修了し国家試験に合格する必要があるため、取得の難易度は比較的高いです。
専門性が高いだけでなく、資格の取得難易度の高さから薬剤師の人数が少ないことが、高い年収に繋がっていると考えられます。
20代の薬剤師が年収をアップさせるコツ
キャリアアップを目指す
今の環境で年収をアップさせるためには、キャリアアップを目指すのがおすすめです。20代の若いうちでも、管理薬剤師・エリアマネージャーなどの役職に就くことで、役職手当がもらえます。
しかし、管理職になるにはスキル・技能だけでなく、経験・実績も必要であるため、希望する役職に就くまでに時間がかかるでしょう。
また、管理職のポストが空いていないと就けないことも注意点です。

資格を取得する
薬剤師には専門性の高さを証明する資格も存在します。このような資格を取得することで、資格手当が支給されることもあります。
こちらも、職場によって資格手当の有無が異なるため、注意してください。薬剤師が取得できる主な資格は以下の2つです。
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認定薬剤師・専門薬剤師は、がん、感染制御、精神科、妊婦・授乳婦、HIV感染症の5つの領域において、専門的な技能を持つ薬剤師のことです。
研修認定薬剤師は、研修を受けて自己研鑽した成果について認定された薬剤師資格のことです。認定されることにより、自身のスキルを証明し他の医療従事者や患者からの信頼を高められます。
このような資格を取得している薬剤師は専門性が高い仕事を行えるため、職場で重宝されるでしょう。

薬剤師の知識を活かし副業をする
薬剤師の専門知識があれば、アルバイトや派遣でも時給が高くなりやすいです。そのため、本業とは別に薬剤師の知識を活かして副業することで年収を上げることもできます。
本業の仕事が終わった後や、土日など休日に調剤薬局やドラッグストアとして働くことで、その分収入を増やせるでしょう。
就業規則で副業を禁止している企業は存在するため、副業を始める前に会社の規則を確認してください。
また、副業として働くことで休む時間が少なくなるため、体力的にきつくなることも覚悟しなければなりません。
転職をする
今の職場で年収を高めにくいのであれば、転職をすることも有効な手段の1つです。薬剤師の年収は年齢とともに高くなりやすいですが、職場や地域によっても大きく変わります。
例えば、山口県の薬剤師の平均年収は「780万円」と非常に高く、次に高い福島県より40万円以上も高いです。

20代薬剤師が年収アップのために取っておきたい資格
ここでは、20代薬剤師が年収アップのために取っておきたい資格を紹介します。
- 認定薬剤師
- 専門薬剤師
それぞれ、解説しますね。
認定薬剤師
認定薬剤師とは、「認定薬剤師制度」による一定期間の集合研修や自己研修を通して、定められた単位を取得することで、最新の技術や知識を有していると認められた資格のことです。
認定薬剤師は各分野で専門的な研修が受けることができ、3年ごとに更新しなければいけません。
例えば、以下のような種類があります。
-
漢方薬・生薬認定薬剤師
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がん薬物療法認定薬剤師
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プライマリ・ケア認定薬剤師
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小児薬物療法認定薬剤師制度
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妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師
上記の専門分野から自分のキャリア形成において、取得したいものを選択して、認定専門資格を取得していくのです。

専門薬剤師
専門薬剤師とは、「特定の分野で薬物療法などの十分な知識と技術を有する者」として認められた薬剤師です。
特定の分野で専門的な知識と技術を認められた薬剤師という点では、認定薬剤師と大きな違いはありません。しかし、専門薬剤師になるためには認定薬剤師の資格を取得していることが必須条件です。
専門薬剤師を取得は、医療従事者や患者から信頼されるので、キャリアップに繋がる可能性は高いと言えるでしょう。
20代薬剤師年収アップ!転職の手順を解説
薬剤師が年収をアップさせるためには、転職の手順をどのように踏めばよいのでしょうか。間違った方向性で転職を進めてしまうと時間の無駄になりかねません。
よって、努力の方向性を間違えないことが大切です。ここでは、20代薬剤師が年収をアップさせる転職の手順を解説します。
転職理由を明確にする
まずは、転職理由を明確にしましょう。転職理由を明確化することで自分に合った転職先を絞ることができるので転職が成功しやすくなります。
その懸念を払拭させるためにも転職理由を決めることが、年収アップの転職に成功するコツです。
面接では必ず「転職理由」が聞かれるため、転職理由が曖昧もしくはネガティブな理由だと面接官からの評価が下がることは確実です。転職理由を明確にすることは、面接対策にも繋がってきます。
職場に求める条件を明確にする
職場に求める条件も明確にするようにしましょう。なぜなら、自分が働きたい職場環境でなければ転職してもすぐに辞める可能性があるからです。
せっかく転職するならば、理想の職場で働きたいですよね。
とはいえ、「給料が高く、福利厚生が充実していて、残業が少ない」このような条件の職場を探すのは難しいでしょう。
そこで、重要なことは自分にとって譲れない条件・譲れる条件を定めておくことです。可能であれば、職場に求める条件を書き出して、優先順位を付けておきましょう。
転職のスケジュールを立てる
転職活動のスケジュール管理はとても大切です。仕事をしながらの転職活動となると、通勤時間や終業後の時間をうまく利用する必要があります。
転職活動は最短でも3ヶ月はかかると言われており、何も準備をせずに転職活動を始めたとしてもうまくいかない可能性が高いです。
そのため、転職のスケジュールを立てて、計画的に進めることが大切です。
転職エージェントに登録する
年収アップを目的とした転職をしたいのなら、転職エージェントに登録することをおすすめします。

また、企業との繋がりも強いため、あなたに合った求人を紹介してくれます。よって、転職エージェントは転職サイトのように自分で求人を探す手間がありません。
本記事では薬剤師に強い転職エージェントを紹介しているので、まずは登録して「年収を上げる転職をしたい」と伝えてみましょう。
転職先に貢献できることをアピールする
年収を上げる転職で大事なことは、自分のスキルや経験が転職先にどのように貢献できるかをアピールすることです。
アピールと言えば、コミュニケーション能力・真面目さ・明るさなど多くの強みが思いつくかもしれません。
ただ、自分の良い面をアピールしたところで採用担当者の心には響きません。中途採用で重要なことは、自分のスキルや経験をもとに「いかに職場に貢献できるか」を伝えることです。
20代薬剤師が年収アップを目指すなら転職エージェントがおすすめ
薬剤師として年収を上げるために転職するのであれば、転職エージェントを利用するのがおすすめです。
転職エージェントは基本的に無料で利用でき、さまざまな転職サポートを受けられるため、1人で転職活動を行うよりも効率が良いです。
まず、最初にキャリアカウンセリングを受けて、どのような転職を望んでいるか相談します。
また、転職エージェントでしか出会えない求人も多くあり、1人で活動するよりも好条件の求人と出会いやすいです。
他にも、応募書類の添削や面接対策なども受けられるため、各企業の選考を突破しやすくなります。
内定を獲得した後も、入社日や年収などの交渉を代行してくれるサービスもあるため、安心感があるでしょう。

20代で年収アップを目指す薬剤師におすすめの転職エージェント3選
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出典:ファルマスタッフ
よくある質問
まとめ
この記事では、20代の薬剤師の平均年収や年収アップのポイントについて紹介しました。薬剤師の仕事は、専門性が高いため給与水準が高い傾向にあります。
ただし、薬剤師になるためには6年間の薬学課程を修了する必要があるため、働き始めるのが24歳と遅いため、20代全体の年収で考えるとそこまで高くありません。
20代の年収を考えるときは、実質の給与である20代後半(25歳から29歳)までを参考にするのがおすすめです。

記事内では無料で利用できるおすすめ転職エージェントを紹介したため、それぞれの特徴を比較しながら自分に合ったサービスを見つけて、年収アップを目指して転職活動を進めてみてください。