
保育士の給料や年収はどのくらい?都道府県別・施設別に詳しく紹介
現在は保育士不足が叫ばれており、同時に保育士の給料の低さにも注目が集まっています。しかしながら、保育士は子どもの乳幼児期の成長を専門的に支える重要な仕事です。

そこで今回は、保育士の給料や年収について詳しく解説していきます。
- 保育士の給料と年収
- 勤務年数や施設による年収の違い
- 保育士の給料をアップする方法
- 保育士の給料・年収アップにおすすめな資格
- 保育士の転職活動のポイント
保育士の給料や年収について知りたい方、また保育士の転職を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
保育士の給料と平均年収はどのくらい?
厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、10人以上の規模の施設に勤める保育士の平均給与は、249,800円となっています。年間賞与(ボーナス)の平均は747,400円です。
国税庁による「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は433万円となっており、保育士の年収は平均よりも低いのが現状となっています。
【勤続年数別】保育士の平均年収
保育士の勤続年数による平均年収は、どのようになっているのでしょうか。
年齢 | 給料 | 賞与(ボーナス) | 年収 |
20~24歳 | 214,300円 | 481,000円 | 約300万円 |
25~29歳 | 236,600円 | 724,700円 | 約350万円 |
30~34歳 | 247,800円 | 748,800円 | 約370万円 |
35~39歳 | 256,500円 | 777,600円 | 約380万円 |
40~44歳 | 259,300円 | 822,800円 | 約390万円 |
45~49歳 | 260,800円 | 833,300円 | 約390万円 |
50~54歳 | 283,700円 | 967,000円 | 約430万円 |
55~59歳 | 284,900円 | 775,400円 | 約410万円 |
60~64歳 | 266,700円 | 667,500円 | 約380万円 |
保育士の給料は、勤務経験によっても差があることがわかります。少しずつ上がっていくため、同じ園で長く勤務し続けていると、自然と年収も高くなっていくでしょう。

出典:厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」
【職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)】より
【施設形態別】保育士の平均給料
施設形態別保育士の平均給与を見ていきましょう。
施設形態 | 私立 | 公立 |
保育園 | 301,823円 | 303,113円 |
幼稚園 | 287,492円 | 378,356円 |
認定こども園 | 279,954円 | 287,181円 |
小規模保育事業(A型、B型) | A型268,755円 B型269,617円 | – |
事業所内保育事業 | 238,168円 | – |
特出して給料が高いのが公立の幼稚園教諭で、私立幼稚園の教諭との差も大きいようです。保育園の場合、私立と公立の差はそうありません。

出典:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果
保育士の年収・給料が安いと言われるのはなぜ?
「保育士の給料が安い」ことは、一般的なイメージともなっています。実際、退職したり資格があるのに働いていなかったりする保育士は、給料の安さが大きな理由を占めているようです。
ここからは、保育士の給料が安い理由を確認していきましょう。
公定価格で運営されるため大きくアップしない
認可保育園の運営費は、基本的に政府から支給される補助金と、保護者からの保育料でまかなわれています。
保育料は公定価格で定められており、公定価格を決める要素は子どもの区分や定員数、年齢、保育園の地域区分、保育園の形態といったことです。
一般企業であればサービスを充実して収入を増やすという手段もありますが、保育園は営利企業ではないため、保育料を勝手に増やすことはできません。

仕事量が多く給料と見合っていない
「仕事量の多さと給料が見合っていない」という保育士の声も多いようです。
保育士は子どもと過ごすというメイン業務以外にも、保育計画の立案、指導案の作成、行事の計画、日誌や連絡帳の記入、保護者への対応と、たくさんの仕事をこなしています。
また、子どもの命を預かっているという、責任重大な仕事という側面もあります。

保育士の給料が低くても人気がある理由とは
子どもの頃から保育士に憧れている女性が多い
保育士を目指す人は多く、人気の職業のひとつです。子どもの頃一度は保育士になりたいと考えたことがある人も、少なくないのではないでしょうか。
子どもたちが成長していく過程を目の前で見られることも、人気の理由のひとつ。

求人が多く安定して働ける
保育園をはじめとする保育士資格が活かせる場所はたくさんあり、したがって求人も多くあります。
将来的に働く場所がなくなる心配がないという点も、保育士を選ぶメリットのひとつでしょう。
子育て経験などを活かせる
これまでは違った仕事に就いていても、子育てを経験したことをきっかけに保育士を志す人も少なくありません。
出産や育児は多くの女性が通る道でもあります。子育て経験を活かせる仕事のひとつであることも、保育士が人気の理由です。

保育士の年収や給料、今後上がる見込みはある?
保育士の給料は安いと言われていますが、実はここ数年、保育士の給料は増加傾向にあります。
その理由は、待機児童問題の改善策と保育士不足の解消策として平成25年から実施されている「保育士処遇改善等加算」にあります。制度の特徴について把握しておきましょう。
保育士処遇改善等加算とは?
保育士処遇改善等加算には、「処遇改善加算Ⅰ」と「処遇改善加算Ⅱ」があり、それぞれ制度の目的が異なります。
- 処遇改善加算Ⅰ…賃金のベースアップが目的
- 処遇改善加算Ⅱ…保育士のキャリアアップ
処遇改善加算Ⅰは職場の環境とキャリアアップ制度を改善することを目的とした制度。 「基礎分」「賃金改善要件分」「キャリアパス要件分」それぞれ規定の要件を満たせば園に補助金が入り、それを保育士の給料に反映するという流れです。
処遇改善加算Ⅱでは、保育士の待遇向上と専門性アップを目指し、「保育士等キャリアアップ研修制度」が設けられました。
規定の研修を修了すると、副主任保育士、専門リーダー、職務分野別リーダーといった新設された役職に就くことができ、給料アップを見込むことができます。
令和4年2月~は補助金も支給される
令和4年2月から月額9,000円の費用が補助されるのが、「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」です。要件を満たすことで補助が認められることになります。
しかしながら、出た補助金はすべて賃金改善に充てなくてはならないため、全額でなくとも給与に反映することになるでしょう。

対策を実施している自治体もある
待機児童問題は各自治体の課題にもなっています。しかし、保育園を作っても保育士が不足しているため、運営ができない事例も発生しているようです。
対策の内容は自治体によっても異なりますが、家賃補助制度や就学資金貸付制度、月額給与や期末手当上乗せなどといった制度があるようです。

保育士が年収・給料を増やすための方法は?
役職に就く
今の職場で給料アップを目指すなら、キャリアアップして役職に就くことが方法のひとつです。
保育園にはリーダーや主任、園長といった、管理者の役職が設けられています。役職に就くことで基本給に役職手当が加算される施設も多く、年収アップにつながるでしょう。
役職に就くまでに数十年かかってしまう、なんてこともなきにしもあらずです。また、管理職に就くことで、仕事の内容に変化もあるでしょう。

資格を取得する
資格を取得すると、資格手当が加算される園もあります。保育士に役立つ資格には、以下のようなものが挙げられるでしょう。
- 絵本専門士
- リトミック指導員
- チャイルドマインダー
- 運動保育士
- イングリッシュエキスパート保育士
- 認定病児保育スペシャリスト
子どもたちへの教育に役立てることができるうえ、保育園のアピールポイントを作ることにもつながります。

転職を検討する
今の職場ではなかなか役職者のポストが空きそうにない、役職に就いてもそう給与アップにつながらないといった場合には、待遇や給料のいい職場への転職を検討するのもひとつの方法です。
待遇がいい保育園に転職すれば、今よりもぐっと給料が上がる可能性もあります。基本給の高さや手当の多さなどチェックして、転職先を探してみてください。

保育士の給料・年収アップにおすすめな資格
保育士として働いている方で、「もっと年収を上げたい」「もっと専門的な知識を身に付けたい」と考える方はいらっしゃるのではないでしょうか?

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絵本専門士
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リトミック指導員
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チャイルドマインダー
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運動保育士
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イングリッシュエキスパート保育士
それぞれ、解説しますね。
絵本専門士
絵本専門士は、絵本に関する知識や読み聞かせの高い技術を備えた「絵本の専門家」を証明する資格です。
子供たちに絵本を読み聞かせる機会が多い保育士は、絵本専門士はピッタリの資格と言えるでしょう。
しかし、絵本専門士養成講座を受講するには、国立青少年教育振興機構のHPからエントリーシートを記入して、選考を受けなければいけません。
定員が70名となっており、例年非常に多くの応募があるようなので、難易度は高いと言えます。
リトミック指導員
そして、リトミック指導員はその名の通り、「リトミック」を教える講師のことを言います。
音楽と楽しく触れ合いながら、子供の感性や集中力、表現力を育むことができます。

リトミック指導員の資格を取得するには音楽学校などの養成校に通い、指定のカリキュラムを修了する必要があります。
チャイルドマインダー
チャイルドマインダーはイギリスで生まれた家庭保育に関してのスペシャリストを証明する資格です。
保育園不足が謳われている現代において、責任を持って子供をみることができるチャイルドマインダーは注目されている資格です。
保育士と違い国家資格ではないので、学歴関係なく取得できるのも魅力です。

運動保育士
運動保育士の役割はその名のとおり、運動と保育の専門家として子供の発達に合わせた運動遊びを提供します。運動保育士になるためには「運動保育士会認定資格」を取得する必要があります。
コースは「運動遊び実践コース」と「子育て脳機能コース」の2種類あり、いずれかのコースの講習を受けることで資格を取得できます。

イングリッシュエキスパート保育士
英語と言っても英単語や文法を指導するわけではなく、英語の歌を歌ったり、英語に関するゲームやダンスを教えたりと、幼いうちから英語に触れさせることが目的です。
小学校での英語教育義務化により、近年では保育園や幼稚園でも英語を重視する傾向が強まっているため、イングリッシュエキスパート保育士の需要も高まっています。

イングリッシュエキスパート保育士の資格を取得するためには、一般社団法人保育英語検定協会が実施している「保育英語検定」に合格する必要があります。
【年収・収入アップを目指す保育士向け】転職活動のポイント
転職活動をしようと決断したものの、どう進めたらいいか分からないということもあるかもしれません。
保育士の転職活動において、押さえておきたい4つのポイントを解説していきます。
4月就職を狙って転職活動する
保育士の求人は、年度末に合わせて1~3月の時期に多くなる傾向にあります。
今いる職場に迷惑をかけないために、子どもや職員が入れ替わるタイミングでもある4月を選ぶ人も多いはずです。

面接対策をしっかり行う
保育士で特に重視されるのは、コミュニケーション能力です。子どもはもちろん保護者、そして職員とうまく関わっていける人材だと判断されなければ、内定につながりにくいでしょう。
質問にスムーズな受け答えができるよう、模擬面接を受けるなどしておくと、安心して本番に臨むことができるでしょう。
- 自己PR
- 退職理由
- 志望動機
- 仕事で大切にしていること
これらの質問の答えは最低限準備しておくようにしましょう。退職理由は前向きさを印象づけるよう、ネガティブな言い回しにならないよう注意が必要です。
転職前に園の雰囲気を確認しておく
実際に働いてみると、求人票やHPなどからの園のイメージと違うこともあるかもしれません。事前に園の雰囲気を事前に確認しておくことも大切です。
転職後のミスマッチはできるだけなくしたいもの。判断される側ではありますが、自分も園に対して判断する側だという気持ちを持って臨みましょう。

転職エージェントを活用するのもおすすめ!
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主なサービス(機能)
公開求人数※2021年6月30日時点
27,390件
拠点
全国対応可
ビズリーチ
運営会社
株式会社ビズリーチ
主なサービス(機能)
公開求人数
72,762件※2022年4月1日時点
拠点
東京/首都圏拠点(渋谷)/関西/名古屋/福岡
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